20年間青森県六ヶ所村と福島の人たちを取り続けた島田恵監督によるドキュメンタリー映画「福島 六ヶ所 未来への伝言」のニューヨーク・プレミアが、9月12日、CRS会場にて開催され、60名余りの参加者が集まりました。参加者の中には、震災後、福島からNYに避難して来られた方もおられました。
この映画は、福島第一原発や青森六ヶ所村の使用済み核燃料再処理施設により被害を受けている人々を追う一面、彼らの笑顔も涙もあるリアルな生活をのぞかせ、いかにして核施設というものができてしまうのか、その結果人々の生活はどうなるのか、そして彼らの苦悩、葛藤を描き、放射能 という「負の遺産」をこれ以上増やし続けることの責任を問いかけています。特に、この映画は、福島だけでなく、六ヶ所村のこの20年間の流れ、そして、人々が毎日毎日直面している問題が細かく映し出されているのが、特徴です。
島田恵監督による白黒写真がいたるところで登場し、映画に登場している六ヶ所村の人々の若かりし頃に行った約20年前の抗議行動の時の凛とした目で戦っている姿がも描かれ、加藤登紀子さんによる挿入歌 「今どこにいますか」「命結」が、よく映像とマッチし、心に響くようでした。
上映後、島田監督他、14代続く福島のコメ農家の男性や映画で出会ったばかりの人たちと、スカイプを通して直の質疑応答が始まり、会場からは、力強いコメントや質問が飛び交い、ニューヨークの人たちとの交流がありました。参加者の中には、「私は日本には原発は必要だと思っている」と言い切った男性もいたり、でも彼の発言の後で他の方が、「放射能などのリスクがひとつでもあれば、原発を続けてはいけない理由になる」と反論したり、「福島の方や監督に質問を投げかけるのではなく、これは、自分自身に問わなければいけない問題だ」という発言もありました。
又、未だ作物は売るのは難しいが、福島に居続け努力をしながらも米を作り続けると言われたコメ農家の方からは、福島への継続的な支援と山積みの問題を放置状態の日本政府に対しての海外から呼びかけを、会場を埋めた観客に切に訴えられ、又、「事故を起こした東電とその関連会社の人たちにうちの米を食わせたいよ」と言う彼の発言に会場からは、大きな拍手が起こりました。
又、参加者の方々からは、以下のような声も聞かれました。
「美しい自然風景が多く、あらためて、こうした自然を人間の手でまして原発でなくしてはいけないと思いました。」
「感銘しました。学びました、多くを。多くの人に見てもらいたいと思います。」「他の地域に住んでいる活動家の人に知らせたいと思います。」「こういう現地の人との対話をもっとしてみたい。」「地に足の着いた、リアルな映画でした。」「日本を離れている私たち又は福島から遠くに住む日本人に特に知らされるべき内容だと思いました。現地の現時点での状況が私達には把握できないからです。」「原発に苦しんでいる人達の声を続けて聞きたいと思います。」
同イベント運営に協力を頂いたクリス・ペルハムさん(CRS所属)からは、「(原発という)重要な問題について、より多くの人が素直に自分の意見を述べる状況になってきていることが確認できた」とコメントを頂きました。
「震災から3年半が経ち、震災や原発事故が被災地以外の人たちの意識から薄れてきている現状を遺憾に思う。今後もこのようなイベントを通じ、色々な情報を共有し合って、遠く離れたニューヨークの人たちも決して被災者の人たちの事を忘れないでいる事を伝えていきたい」
Learn From 3.11主催者
www.facebook.com/LearnFrom3.11?fref=ts
photo by Kiyoko Horvath — 場所: CRS (Center for Remembering & Sharing)